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【道刃物プレミアムインタビュー】第6弾 消しゴムはんこ作家・nacoさん(田口奈津子さん)

  • カテゴリ: 新着情報 プレミアムインタビュー

こんにちは、道刃物工業です。

去る2026年6月に行われた一般社団法人日本板画院様主催の「板院展」。
その催し物の一環で、人気番組「プレバト‼」でもおなじみの消しゴムはんこ作家
田口奈津子さんが見事な消しゴムはんこの摺り実演会を実施されました。
実演会は大変ご好評で、たくさんのお客様がお見えになりました。
 
たくさんのギャラリーに囲まれる田口さん


20分足らずで、高難易度の消しゴムはんこ摺りを披露。

 
たくさんの版とインクパッドを使用された渾身の一作!

 
田口さんの作品の前で記念写真を撮る道刃物営業・キカイ(左)と田口さん

そんな大人気の消しゴムはんこ作家・田口奈津子さんですが
道刃物営業のキカイとはもう10ウン年のお付き合いのある消しゴムはんこ友達。
そして今回なんと!道刃物東京営業所「カービー」に、田口さんが遊びにきてくださいました!!

そこで、消しゴムはんこイベント黎明期からブロガー時代のお話、
そして今に至るまでの変遷などいろいろとお聞きしました。
本インタビューでは田口さんのことを、クリエイター名の「nacoさん」とお呼びします。

登場人物:
nacoさん(消しゴムはんこ作家・田口奈津子さん。「プレバト!!」消しゴムはんこ査定講師役)
道刃物 田中 悟(道刃物工業株式会社 代表取締役)
道刃物 キカイ(道刃物工業株式会社 営業)

── 消しゴムはんこ作家になったきっかけ

キカイ
私はnacoさんとは、道刃物に入る前からのお知り合いでした。
2010年前後のお話で、当時「にほんブログ村」という、
旅行、料理、子育て、といった色々なカテゴリ別に
ブログ記事が検索できるポータルサイトのコミュニティがありまして、
我々はその村民同士だったのです(笑)
その時からnacoさんは人気ブロガーで、村の中でもスターのような存在でした。

nacoさん
そんなそんな、お恥ずかしいです!
でも、今思うと楽しかったですよね~、村(笑)

キカイ
村からお互いみんなのブログ見に行ったりして、楽しかったです!
そもそも、nacoさんが消しゴムはんこを始められたきっかけというのは
何だったのでしょう?

nacoさん
当時勤めていた雑誌編集のバイト でお隣の席だった同僚さんが、
消しゴムはんこを作る方だったんです。
入れ替りの多い会社だったので毎月のように歓送迎会があって(笑)
その度にその方が記念に消しゴムはんこを作ってプレゼントされてて。
『かわいいな~』って思ったのが作ろうと思ったきっかけですね。

キカイ
今のnacoさんのご活躍を考えたらメチャクチャ功労者じゃないですかその方(笑)

nacoさん
ね~、知ってくださってるかな~?(笑)
そこから自分でも作ろうと思うようになり、最初はやり方なんか分からないから
消しゴムにマジックで直に絵を書いて彫ってましたよ。

キカイ
今のnacoさんからは想像がつかないワイルドさ(笑)

nacoさん
そう(笑)
で、建築の仕事とかもしてたのでトレぺとかデザインナイフとか
必要な道具はお家にいろいろあったから、それで本格的に
消しゴムはんこの作り方を研究するようになりました。
はんこの活用法とか収納方法とかはブログ友達に教えてもらったりしてましたね。

キカイ
ハンカーさん(消しゴムはんこを彫る人を当時こう呼んでいた)それぞれが
「私はこんな風にして作ってます」とかそういうのを記事にして、
みんなで切磋琢磨してましたよね。

nacoさん
元々印刷物(活版とか)も好きだったので消しゴムはんこの
奥深さとの相性がよく、どっぷりとハマっていきました(笑)

キカイ
最初に趣味として始まった消しゴムはんこですが、
そこからどういう流れで人気ブロガーに上り詰めたのでしょうか?

nacoさん
いやいや(笑)、でも今思うと地味に結構毎日更新してましたね。
その日に行ったところや見たものを消しゴムはんこにして
日記のようにブログに掲載してました。
そしたら友達が増えてきてどんどん楽しくなっていったんですよね。
(ブログ)村に行けば友達のみんなが待ってくれてるみたいで、
それも楽しく続けられた要因ですね。


キカイが道刃物に入社する以前の2008年頃にお話に思いを馳せる2人

伝説のイベント『スタンプカーニバル』
2007年に始まったスタンプカーニバル、通称『スタカニ』。
当初のスタカニは、インクパッドメーカーのツキネコさん、スタンプメーカーのこどものかおさん、
消しゴムメーカーのヒノデワシさんの三社が主催となり開催された消しゴムはんこイベント。
トップクラスの作家だけが出展する、ハンカーさんなら誰しもが憧れるイベントでした。
2018年に錦糸町で開催された第12回が最後のスタカニとなりました。

キカイ
おそらく私がnacoさんと初めて直接お会いしたのは、
2010年のスタカニだったと思います。
何を隠そう私が道刃物を知ったのがこの年のスタカニだったのです(笑)
nacoさんはスタカニとのかかわりはどんな感じだったのでしょう?

nacoさん
消しゴムはんこを嗜む私たちには憧れの場所でしたよね!
最初はお客さんとして遊びに行って、ブログでコメントしあっていた
はんこ友達と初めてリアルで会う、みたいな!
そこで来年は私もここに出展したいな~と思って、個展をするみたいな感覚で出展しましたね。
次の年からは、母にお店番を頼んでポストカードや作品などを販売したり…


2011年スタンプカーニバルにて、お母さま(左)と息子さんのとうにゃんくん(手前)
※15年前の写真なので、nacoさんご本人に特別に掲載許可をいただきました。

nacoさん
お世話になってるヒノデワシさんのブースで
消しゴムはんこのワークショップをさせてもらったりしました。


ヒノデワシさんブースでワークショップを行うnacoさん(2011年)

キカイ
15年前‼(笑) 懐かしい画像をありがとうございます!
でもnacoさんあまり変わってないですね!
大きな盛り上がりを見せていたスタカニですが、
残念なことに2018年を最後に終了してしまいます。
確かそのあたりでnacoさんから、今度とあるテレビ番組で
「消しゴムはんこの査定講師役をすることになりました~」ってお聞きしたんですよね。
それが、現在も続いている『プレバト!!』の消しゴムはんこコーナーです。

「プレバト!!」の影響と消しゴムはんこの社会的認知
人気テレビ番組「プレバト!!」で2017年から採用された消しゴムはんこ企画が、
その社会的認知度を飛躍的に高めました。
企画開始時には、Twitter(現X)で「消しゴムはんこ」がトレンド入りするなど大きな反響を呼びました。
いろいろなジャンルが採用され終了していく中、消しゴムはんこは今も根強く続いています。

田中
今では『プレバト!!』が消しゴムはんこの代名詞になっていて、消しゴムはんこを一般の方に説明する時
「あのプレバトの…」の一言ですぐに伝わるので、本当にありがたいなと感じています。

キカイ
それくらい定着しましたよね!
ただですね、あのnacoさんの作風が消しゴムはんこの「普通」と思われると、
消しゴムはんこ彫りの端くれの私としてはちょっと困っちゃう(笑)
これだけは言っておきたいんですけどあれだいぶ高度なことやってますからね、みなさん!(笑)
nacoさんははんこをパズルのように組み合わせて一つの絵にされますが、
木版画のように線が重なるようには摺らないんですか?

nacoさん
そういえば、版はあまり重ねないですね。
消しゴムはんこには明確なルールは無いので、どのように作っても問題ないのですが、、、
一版で重ねるなら、やっぱり多版を彫りたい!かな。
単純に先に捺したインクの上には捺しにくい、というのもありますけどね。


1枚の絵に、数えきれないほどの版を使って作品を作るnacoさんの作風は
消しゴムはんこ作家さんの中でも唯一無二の、独特な作り方なのだ!

キカイ
木版画は「見当」というのがあるから位置決めがしやすいおかげで
最後に強い色を摺る、ってことが出来ますが、
nacoさんの場合、見当なしで合わせていくのがすごい。

nacoさん
いや、普通にズレたりしますよ(笑)。でもそれが味というかね。
活版印刷でもズレてたりするのあるじゃないですか。
ああいうの愛おしい(笑)
版ズレは、そこに「かわいさ」が生まれる絶好のチャンスなので(≧∇≦)!!!

キカイ
なるほど、ズレもチャンス!それがはんこらしさ、というところですね。
いやーしかし、プレバトで消しゴムはんこを取り上げていただいてからもう9年ですか!!
こんなに長く続けていただいて、ありがたいことですねホント…

nacoさん
これだけ消しゴムはんこがネタとして続いているというのは、
それほど消しゴムはんこ自体に魅力があるってことだと思います!

キカイ
いや、それだけじゃなく、やっぱり先生がnacoさんだから続いてるんですよ!

nacoさん
キャー(≧∇≦)!
でも、やっぱりジュニアさん(千原ジュニア氏)をはじめ、たくさんの演者さんが
面白がってくださって、色んな作品を作ってくださってるからというのは大きいです。
現在、はんこでデザインした切手シートを制作・販売するプロジェクトも進行中ですしね。

田中
番組内で制作された作品は全国で作品展として巡回されてますよね。
各地で盛況を博しているようで。あれは一度見に行かなあかんなーと思ってます。

nacoさん
是非是非!よろしくお願いいたします。

『プレバト展』のお知らせ

7月22日から8月2日まで、横浜高島屋で「プレバト展」が開催されます。
その後、大阪、名古屋、静岡、広島なども予定しております。


公式URL https://www.mbs.jp/purebato/

── 道刃物工業と消しゴムはんこ用彫刻刀の歩み

田中
弊社が消しゴムはんこに本格的に携わり始めたのは
2007年のスタンプカーニバルスタカニの立ち上げの頃ですね。
その頃には他社に先駆けて専用の彫刻刀を作っていました。

キカイ
私が初めて伺ったスタカニ2010年にはすでに「ゴムハン刀」という存在があって、
「消しゴムはんこ専用の刃物なんてあるんだ!」と驚いたのを覚えております。
私は今でもこのオレンジの「印刀」を一番好んで使用しています。


他社に先駆けて開発した「ゴムハン刀」全6種

◆nacoさん愛用のゴムハン刀 「印刀曲」と、進化した余白サラエ系刃物

キカイ
nacoさんが一番よく使われている弊社のゴムハン刀というと…
やはり「印刀曲」ですよね!

nacoさん
そうです!「赤の印刀曲」!


nacoさんが愛用されているゴムハン刀「印刀曲」。
商品名シールが、ただの白い丸シールになっているほど長年使われたのがわかります(笑)

nacoさん
正しい使い方かどうかはわからないのですが、刃の内側を上向きにして
余白部分の出っ張りを取っていきます。
刃が曲がってくれているおかげで余白を平らにするのがすごい楽になります。
はんこ彫るのは好きなんだけど、めんどくさがりでもあるんで(笑)
こういう便利な刃物はありがたいです!

nacoさんによる「印刀曲」の実演
(動画はnacoさんのinstagramにて)

キカイ
私はかつて名刺サイズで般若心経のはんこを彫る時に大活躍しました!
一文字3mmしかない中の細い線をV字で彫る時、普通の印刀だと入射角が鈍角になってしまうんですが、
これだと最初から絶妙な角度がついているので、普通の持ち方のまま鋭角に刃が入るんです。
すごく楽にできたんでみなさんも是非!!


2012年に、何を思ったのか作成した名刺大般若心経はんこ

 
nacoさんとは全く逆の使い方の印刀曲。

田中
いや・・・、弊社が想定した使い方は、どちらかというとnacoさんの方が近いです。
キカイの方が相当特殊な使い方です(笑)

キカイ
そう、便利ならどっちでもいいんです(笑)
nacoさんの印刀曲の使い方もそうですが、消しゴムはんこの余白をきれいにするニーズがあり
印刀曲の上位互換として「余白サラエ」、さらには、まったく別の発想の
「ラビースムーサー」という商品を弊社ではリリースしています。
ラビースムーサーは以前クラファンでも話題になった商品で
現在は形状に若干変化を持たせたものを「ラビースムーサーSQ」として
レギュラー販売しております。

nacoさん
えーちょっと使ってみていいですか?使いこなせるかなー?

こちらがラビースムーサーSQ
余白処理のためだけに生まれた彫刻刀です。



nacoさんによる「ラビースムーサーSQ」の実演
(動画はnacoさんのinstagramにて)

キカイ
おお!ものの数分で使い方マスターされてます!さすがです!

nacoさん
なるほど、印刀曲もいいけど、これはこれで余白が平らにしやすくていいですね!
普通の丸刀で余白を彫ろうとすると、思ったより深く彫ってしまう感覚があったんですが、
このラビースムーサーはそれがない!

キカイ
印刀曲みたいに曲がってるから食い込んではいかないんですよね。

nacoさん
なるほど~
あとこれ、丸刀に見えるけど彫った跡は平たいんですね!

キカイ
よくお気づきで!
刃表を平らに研いでいるんで、彫った跡は平面なんです。
あくまでも「余白を平らにしたい」っていうニーズに合わせた製品ですので!

nacoさん
よく考えてある!
余白処理って沼な部分ありますけど、これならその沼から出られるかも!(≧∇≦)

 

── 手彫りはんこ文化をこれからの世代へ繋ぐために

キカイ
最近は手彫りはんこのコスパの悪さもあって、イラストを描いてデータ入稿し、
ラバースタンプ(既製品)に移行された作家さんも多いですよね。
彫刻刀メーカーとして、それは少し寂しいなと感じていて…

nacoさん
私もラバースタンプ作りませんか?というお声がけは時々いただ くのですが、
はんこ彫ること自体が好きなので、今の私の作風にはちょっと違うかなー、と思ってます。

キカイ
買う側はね、憧れの作家さんの手彫り作品はさすがに高くて買えないけど、
ラバースタンプでもいいからこの人の絵のはんこ買いたい!
っていうニーズがあるのは理解できるんで否定はしないんですけど。

nacoさん
ほんとに彫るのが好きな作家さんはひたすら数彫るもんね!ほしい人に届けるために。
でも、みんながみんなそうはいかないし。ラバースタンプなら数は用意出来るもんね。


消しゴムはんこへの愛を熱く語るnacoさん

キカイ

ただ、「彫って作った線」ってやっぱり手彫りじゃないと出来ないじゃないですか。
私の場合ですけど、いくらイラストを紙に書いても「作品」と呼べるのが出来ないんですよ。
でも、消しゴムはんこにした途端に「作品」と言っていい線に変わるというか。
これなら人前に見せられる、っていうものに、消しゴムはんこにした途端に化ける。

nacoさん
お子さんが描いた拙い絵でも、はんこになると一気に「作品」になるもんね!
消しゴムはんこにはそういう「力」みたいなのがありますよね。

田中
まさにそうですね。
弊社が学校教材として提供している消しゴムは年間10万個ほど出荷されていて、
今でも小中学校の授業で人気が高く、たくさんの子供たちに親しまれています。

キカイ
下手でもいいから、自分で苦労して手で彫ったものにインクをつけてポンと押した時の
「わあ、キレイ!」っていうあの感動こそが、消しゴムはんこの一番の魅力だと思うんですよね。



nacoさん

私もその瞬間を何度も見てきました!
上手だから感動するんじゃないんですよね。
自分の手で作ったものが、ちゃんと形になった…。
その喜びは、年齢に関係なく誰の心にも残ると思います。
苦労したこととか、夢中になったこと、そんな気持ちまでが
作品と一緒に残る気がしてて、、、
だから私はこれからも手で彫り続けたいですし、この楽しさを
一人でも多くの方に伝えていけたら嬉しいと思っています。

田中
今は何でもデジタルで完結してしまいがちな時代だからこそ、
手で作る面白さや新鮮な感動を伝えていくのが我々の使命だと思っています。
今後も作家のみなさんの声を聴きながら、安心して使える便利な道具を
しっかりリリースしていきたいですね。

キカイ
nacoさん、本日はいろいろなお話が聞けてとてもよかったです!
ありがとうございました!

nacoさん
私もすっごく楽しかったです!また第二弾もやりましょう!(笑)

キカイ
えっ、いいんですか(笑)
その時はまたよろしくお願いいたします!!

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