ハイス鋼、刃物鋼ともに刀身の長さは85mm。柄の中には”刀身長さ”-”先出長さ”分刃が入り込んでおります。研いで刃先が短くなったら柄を削って先出を長くすることで、長い時間お使い頂くことができます。
ハイス鋼と刃物鋼の違い
道刃物で取り扱う彫刻刀の材質にはハイス鋼と刃物鋼という二つの種類があります。ここではその違いを解説します。
ハイス鋼
木彫りのプロや愛好家も納得の鋼材
ハイス鋼というのは、英語の(high-speed steel)を略した呼び方です。耐磨耗性・耐熱性・耐蝕性に富む特殊鋼の一種です。普通の刃より長切れし、焼き戻りしにくいのでグラインダーで荒研ぎができ、木彫りのプロや愛好家などにも信頼されている鋼材です。これから長く彫刻を続けていきたい、本格志向の方に大変オススメです。
ハイス鋼 彫刻刀はこちら刃物鋼
手ごろな価格で手入れもしやすい便利な鋼材
刃物鋼は一般的な鋼材で、安来鋼青紙2号を使用しております。ハイス鋼に比べて手ごろなお値段になっており、慣れない方にも比較的間単に刃研ぎができるという特徴があります。これから木彫りをはじめようという方の入門用に最適です。
刃物鋼 彫刻刀はこちら彫刻刀の選び方
彫刻刀には実に様々な種類があります。その中でも多くの人が取り組んでいる仏像製作に使われることが多い彫刻刀やのみをご紹介します。彫刻刀選びの参考にしてください。
- 鑿(のみ)
- 平刀
- 印刀
- 丸刀
- 浅丸刀
- 極浅丸
- 三角刀
丸刀と浅丸のR比較
・丸刀9mmと浅丸3mmは同じ丸み(5.5R)
・丸刀15mmと浅丸7.5mmは同じ丸み(9R)
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極浅丸のR比較
・極浅丸1.5mmは5.5R(浅丸3、丸9と同じ)
・極浅丸3、4.5mmは14R(浅丸10.5と同じで丸24に近い)
・極浅丸6、7.5mmは25R(浅丸15と同じ)お買い求めはこちら
逆に、対象物が柔らかい消しゴムはんこ用の三角刀はVの字の底の部分が前に出ています。刃先が尖った形状となるため先端がどこの位置か見やすくまたすくい上げた時の線の切れ上がりがよくなります。お買い求めはこちら
よく受けるご質問に「仏像彫刻をやりたいが、どれが必要か?オススメは?」というのがあります。一言に「仏像」と言っても、種類や大きさなど様々で、それによって使用する刃物も変わってきます。ですので、まずは基本的な平刀、印刀、丸刀の3本(サイズは6mmか9mmくらい)をご用意し少し物足りないくらいの環境でトライしてみましょう。慣れてくると、「もっとこういうのがあったらいいな」と思うようになるので、その時に形や大きさの違うものを購入するようにしていくのが彫刻刀選びで失敗しないコツだと言えます。
彫刻刀の使い方
彫刻刀は刃物ですから、正しく使わないと思わぬケガをすることもあります。まずはしっかりと持つところからはじめましょう。
彫刻刀を親指と人差し指の間に置き、人差し指で握ります。それから中指の先を柄の先端(刃の根本近く)に添えます。
木を彫るときは、利き手だけで彫刻刀を動かすのではなく、利き手と逆手の親指で刃の根元を押してやるとしっかりと削ることができます。ケガの防止のため、刃物の前には決して指を出さないように気をつけましょう。
なかなか木が切れないときも無理に力を入れてないようにし、まずは「逆目」に彫っていないか確認します。
刃先が意図せず加工部に食い込んでいったり、割れてしまうようなら逆目が考えられますので
単純に、工作物を水平に180度回転して持ち替え、また彫ってみましょう。
切りくずがクルクルと、気持ちよく出るようであればそれが順目(ならいめ)です。
木の目の方向が順目でも切れ味が悪いようであれば、研ぎが必要です。早めに研ぐようにしましょう。
こまめに刃を研ぐことは制作効率や仕上がりにも大きく影響するので、面倒くさがらず研ぐことを心がけましょう。
彫刻刀と版画刀の違い
彫刻刀には長めの柄に刃が入ったものと、版画刀という名前の通り木版画制作に特化した刃物がございます。
また、研いで刃が短くなった場合、長柄の彫刻刀は鉛筆削りの要領で柄を削って刃を出す必要がありますが
版画刀(版木刀以外)は口金を外して柄をスライドさせることで簡単に刃を出すことが出来ます。
彫刻刀の研ぎ方はこちら
彫刻刀を使った木版画の作り方などをまとめた学校さん向けの動画はこちらです。ご参照ください。