木のカトラリー制作に挑戦!
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木彫の入り口としてオススメなのが、木のカトラリー制作です。
カトラリーとは食卓用のスプーン、ナイフ、フォークなどのことで
実用性が高く、また形状的にも曲線が多いため彫刻の基礎を学ぶのに最適です。
今回は弊社刃物をいろいろ使ってカトラリーの中でも一番よく使われる
スプーン制作手順をご紹介したいと思います!
【木彫の基本 木の目って何?】
まず始める前に、木彫の基本である「木の目の方向」の話を少し。
木の目には方向があり、クルクルと心地よく彫れる方向が順目(ならいめ)、
食い込んでしまってバサバサになってしまう方向が逆目(さかめ)といいます。
ナイフを使って行う鉛筆削り、みなさん自然と鉛筆の中心に向かって
刃を入れると思いますが、あれが順目で木を削っていることになります。
みなさんがいつもやっている鉛筆削り。
くるくると気持ちよく切りくずが出ます。
逆に、鉛筆の中心近くに刃を入れてから引くように鉛筆を削ったら、
刃が木部に食い込んで割れちゃいますよね。これが逆目です。
誰もやらない削り方。
このままいくと、割れますね。。。危ないのでマネしないでください。
図で表すとこんな感じ。
以上のように、鉛筆削りは木彫の基本。
大変理にかなった彫り方なのです!
木の目の方向は、鉛筆のような形状だと単純(中心に向かって彫る方向)ですが
形状によってコロコロと変わるので、削りくずがクルクルと心地よく彫れるか
常に木のご機嫌を伺いながら彫るのが、木彫の醍醐味です。
【材料】
今回はヒノキを使って作っていきます。
彫りやすい固さで匂いもよく、彫ってるだけで癒されます。
材料はこのようにあらかじめ木取り(不要なところを排除すること)された
加工材を使用していきます。
【彫刻1 頭を丸める】
まずは頭の形を整えます。
木端(こば)から刃を入れた方が、木目に対して刃が平行に入るので彫りやすいです。
逆に木口(こぐち)だと木目に対して垂直に刃が入るので硬くて彫りづらいです。
木端からの彫りを増やし、木口の彫る部分はなるべく少なくするのが
効率の良い彫刻のポイントです。
平刀をグーで握って使うと力が逃げないので効率がいいです。
作業台の上にコルク板などを敷くと、刃を傷めにくくなります。
輪郭が彫れたらカービングナイフ(もしくは印刀)で
さじ部分の外側の丸みを彫っていきます。
初めはサイドから彫り、かまぼこ型にしてから
全体を丸くするといいです。
木の目によっては手前に彫ることも。
ケガ防止のためにケブラー手袋をはめています。
かまぼこ型になったら全体を丸めていきます。
平刀も駆使すると効率が良くなります。
【彫刻2 柄を削る】
柄を削って好きな形に整えていきます。
持ち手部分はまっすぐなので、逆目にならないように気を付けながら
四角いところを丸くしていきます。
割れないように初めに鋸を入れます。
右利きの人はここで印刀左を使うとくびれ部分に食い込まないので便利!
カービングナイフで流れるように柄を整えます。
持ち手部分の形が整ったら、全体の形も整えます。
【彫刻3 匙の内側を彫る】
匙の内側は丸スクイがあると便利です。
荒彫りは木の目に対して横方向に。
仕上げは縦方向に刃を入れるとスムーズです。
カトラリー細工のみ・丸スクイは内ぐり部分にぴったりフィット。
凹みのRに合わせて彫刻刀の丸スクイなどを使い分けましょう。
荒彫りは横方向に、仕上げは縦方向に薄く彫るときれいに出来ます。
底の部分が木の目の方向の境目なのでガサガサになりやすいです。
薄く薄く削って、きれいに仕上げましょう!
【仕上げ 紙やすりがけor彫刻刀で仕上げ】
紙やすりをかけて仕上げます。
粗目からかけていくと滑らかに仕上がります。
#80→#150→#400の粗さでかけました。
「自分は彫り跡が好きだ!」という方はやすりを使わず
彫刻刀でコツコツ仕上げましょう。
【ニス塗り】
塗装仕上げは様々な方法がありますがそれぞれに一長一短があります。
よく蜜蝋を塗るというのを聞きますが、熱で溶けるので
繰り返しの使用で剥がれてしまうため塗りなおしが必要です。
今回は人体への影響も少なく、耐久性もまあまあのセラックニスで仕上げます。
セラックは乾燥が遅いので、気長に何度も塗っていい味にします。
【完成】
ということで。。。
完成ました!
1本出来たら今度は頭の大きさや柄の長さを変えて
さまざまなスプーンづくりをしてみましょう。
スプーンになれたらちょっと難しいフォークにも挑戦してみましょう。
ご自分で作った食器で、ご自宅の食卓に彩を!
是非カトラリー制作を楽しんでみてください。
この記事で使用した彫刻刀・道具のまとめ
カービングナイフ
カトラリー細工のみ丸スクイ12mm
平刀(ハイス)
印刀(ハイス)
丸スクイ(ハイス)
カービー彫刻刀
細工鋸
ケブラー彫刻手袋
作業台
カトラリー制作用道具のページはこちらです→ ☆
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