道刃物ブログMICHIHAMONO

三木の刃物の歴史

  • カテゴリ: 商品情報・豆知識・道刃物のこと

三木市はなぜ刃物の産地として栄えたのか?という問い合わせを
お客様から聞くことがあります。それぞれ言い伝えもあるのですが
以下を参照ください。
長文ですのであらかじめご容赦を・・・。


1)技術交流からの始まり

むかし、神功皇后が朝鮮半島に遠征、百済(くだら)の国を助け、
新羅(しらぎ)と戦ったという話があります。
これにまつわる話が地方にも多く、三木市も例外ではありません。
神功皇后が遠征の途中、三木の“君が峰”あたりで一服された時、
土地の人たちが壺に入れたお酒をさし上げました。お酒を召し上った
皇后が大変おほめになったので酒壺(みき)と呼ばれるようになり、
これが三木の地名になったというのです。

また、戦さのあと、多くの韓人を連れ帰られ三木に住み着き
鍛冶を行なったのが、金物の町としてのはじまりだという言い伝えです。

また播磨地方は大昔に、大和民族と出雲民族の交流の接点であったので、
天目一箇命(あめのまひとつのみこと)は播磨に住まれて
大和鍛治の祖神となり、製鉄の祖金山彦命(かなやまひこのみこと)も
播磨の国に天降られたあと、出雲に移られたという伝承もあります。
播磨地方は古くから製鉄や鍛冶が盛んであったから、このような話が
言い伝わったと思われます。

歴史によりますと、百済の聖明王の王子恵とともに、帰化された人たちによって
大和鍛冶に韓鍛冶のすばらしい技術が加わり、鍛冶のまち三木の基礎ができ上った
ということです。


2)三木城と豊臣秀吉

鍛冶とともに大工職人の技術もすぐれ、日原大工と呼ばれるこの地方の大工さんは
奈良朝、平安朝の時代から国宝級の建造物を手がけていますが
一方三木地方にも立派な寺院が多く建立されました。
ところが残念なことに、戦国乱世の時代に豊臣秀吉が三木城攻めでこれらの寺も
古い街並みも、文化の足跡を焼き払ってしまったようです。

でも秀吉は、それ以後の三木のために大きな功績を残しそれが新しい三木づくりの原点となり、金物のまち三木は、この時から本格的に培われてきたとも言えます。

別所長治の三木城を攻め落した秀吉は当初、この地に根をおろす考えで
免税の制札を辻々に掲げたため、人々は再び町に帰り復興が目ざましく
進展しました。

焼けてしまった寺や家屋の復旧のため各地から大工職人が集まり、
彼等に必要な大工道具をつくる鍛冶職人が増え、これが現在の発展につながる
足がかりとなったのです。


3)伝統をうけつぐ

こうして鍛冶が発展すると出稼ぎの大工だけに頼っていては
販売が追いつきません。
宝暦年間(1751~1764)には、材料の仕入れと製品の販売に当たる
仲買人が生まれたのです。
この頃は原料の一部を大阪から仕入れる仲間もあって、代価を製品と相殺するか、材料を仲買人が鍛冶屋に与えて手間賃が支払われる形式がとられました。

仲買人はやがて大きくなって仲買問屋へと発展しますが、
寛政4年(1792)の仲間定法控によりますと「作屋」など5軒が仲買仲間を結成、大工道具、家庭刃物、野道具などを取扱っています。

これに対して鍛冶職人の方でも鋸や剃刃などの職人が、稲荷講や文殊講の名で
仲間を組織、同業の保護につとめています。

三木金物は、はじめ大阪の商人によって発達、大阪を中心とした地域を
市場にして来ましたが、享和3年(1803)に江戸の炭屋七右衛門
(現在も金物商社)から引合いがあり、翌4年から取引きが始まっています。
こうして江戸との直接取引が始まると、仲買人は急速に資本を蓄わえ、
これまで優位にあった鍛冶仲間を支配系列下に組入れて行くことになりました。
これがその後の生産流通の基本形態となったわけです。


4)現代へ

日本の夜明け、明治維新によって江戸時代の鍛治仲間の封建的諸制度は次第に
崩れはじめ、近代資本主義社会の産業形態に足を踏み入れた頃、
三木金物に大きな変革をもたらしたのは明治13年頃から輸入されだした洋鉄、
洋鋼が使用されはじめ製造工程の合理化で量産が可能となったからです。
東京、大阪の金物仲買問屋だけではさばききれず直接各地方へ出張販売することになりますが、
交通機関の発達と輸送力の増大が大きくプラスし、今日の三木金物の全国的な
販売網をつくる基礎になりました。

大正末期から昭和初期にかけての経済恐荒も、それを克服するための
不断の努力が重ねられ、ベルトハンマーやエアーハンマー、グラインダーなど
使用の近代化工場も増えはじめ、販売面でも満州事変以後は、朝鮮、満州、
中国大陸から東南アジア市場への進出が行われました。
あの太平洋戦争の終戦とともに荒廃した国土の復興がはじまり、
大工道具の需要が急増しました。

全国の小売店が三木に殺到するという異常さで、この勢いに乗り、
有力メーカーは大規模工場に発展、地元の問屋を組織して
代理店販売の形式を採用すると共に、直接大阪、名古屋、東京の集散地問屋に
進出しはじめました。

一方戦前の3倍以上にも増えた地元問屋も、それぞれの販売組織を確立して
新しい経済秩序をつくり、全三木金物卸商協同組合がつくられました。

戦後の新しい特徴は、電動工具の発達と新建築様式に対応する新建材用具、
さらに基幹産業面ではスパナーなど工具、耕運機、バインダー刃等の農具、
山林伐採用ジグソーなどにも進出、また生活様式の変化による家庭大工、
園芸用具の新開発です。ホームセンターや大型量販店の誕生によって
驚異的な伸びをみせ、現在では日本のみならず、海外からの注目度も高く、
メイドイン三木の刃物をさらに大きな市場にまで成長しております。

 


参考文献

三木金物資料館より
木工道具(鋸・鑿・鉋・鏝・小刀)を収集し、保存・展示しており、
ビデオコーナーでは金物に関する動画をご覧になることができます。

所在地:〒673-0432 兵庫県三木市上の丸町5番地43号
TEL:0794-83-1780 FAX:0794-83-1780
開館/午前10:00~午後5:00
休館/月曜日(月曜日が祝日の場合その翌日休館)、
年末年始(12月29日~1月3日) 入塲料 無料
※三木市立金物資料館についてはこちら

 

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