てん刻の作り方(鶴と寿)
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キカイさん
てん刻の作り方印面編です。初めにつまづく図案の転写方法が画期的。てん刻用品の使い方も説明しております。
この作品を制作するにあたって
何やら難しそうなイメージのあるてん刻。
しかし、作り方を見てみるとそれほど難しいことはありません。
それには転写のしやすさ、石の彫りやすさなどみなさんが意外と知らないことがたくさん!
それでは順に作り方を見ていきましょう。
意外とカンタン!画期的転写方法
転写に入る前に、下準備を行います。
まずはてん刻プラバイスに印材を挟みます。印面をプラバイスの下面から少し出るようにして紙やすり(#240)で削ります。
削れた印面とプラバイスの平面がツライチになればオッケー。
その後さらに細かい紙やすり(#400)で目を細かくしておきましょう。
印材を外し、今回の転写のミソとなる「ポスカ」を印面に塗ります。
ポスカの顔料が乾くと、鉛筆の線が写るようになります。
この方法を編み出したのははんこ作家でイラストレーターの白山たえさん。
いろいろなペンを試してみた結果、ポスカが一番効果があったとのことです。
色も朱墨に近い「だいだい」がおすすめです。
下絵の準備に時間がかかるので、その前にポスカを塗って乾かしておきましょう。
下絵を準備します。下絵を描く時は石の外周の四角を紙に映しておくと、大きさが合わせやすいです。
その中に絵を描きます。
下絵が出来たらトレーシングペーパーに、鉛筆かシャープペンシルで写し書きをします。ボールペンやマジックペンは写りませんので使用しないこと。
ではいよいよ転写です。トレペに鉛筆で書いた方の面を、ポスカを塗った印面に載せます。
消しゴムはんこと同じ要領でトレペ上の鉛筆の線を印面に爪でこすりつけます。
っと、鉛筆の芯の濃さが低かったのか、写りがあまりよくありませんでした。。。
しかし、そんな時でも大丈夫。鉛筆で直書き修正が出来ちゃいます!
薄く写った線をなぞって濃くしていきましょう。
てん刻刀で彫る
てん刻用の印材はそこらへんに落ちている石とは違って、彫りやすい硬さのものです。
今回使用している印材は遼凍石。適度な硬さできれいに彫れます。
まずは、冒頭でも使用したてん刻プラバイスに再度石を挟み込みます。
今後は印面が上になるように。また、印面はプラバイスの上面から2~3cmくらい出すと彫りやすいです。
てん刻刀を入れていきましょう。
刀を安定させて動かすには、刀を持つ手だけを動かすのではなく反対の手の親指を刀の後ろに添えて一緒に動かします。
刀を持つ手もどこかに飛んでいかないように、薬指か小指を常に石に触れておきます。
反対の手はてん刻プラバイス全体を包み込むように持つと安定します。
一気に行かないようにゆっくりと彫っていきましょう。
今回は朱文(陽刻ともいう)という文字の残し方。鉛筆で書いた線の部分を残していくやり方です。
初めから線の際を彫ると、勢い余って彫りすぎてしまった時に修正が出来なくなります。
0.5㎜くらいの仕上げしろを残しつつ彫っていくのが、きれいに彫るコツです。
(勢いを楽しみたい人はギリギリ攻めスタイルでもOK!)
先に、広めの余白を彫っておきます。
余白は『サラエ刀』という、平刀のような形状の刃が便利です。
線で当たって面で彫っていきます。
荒彫りを済ませているので、仕上げは彫りやすくなっています。
荒彫りほど力を入れなくても彫れるので、力まずサクサクと仕上げていきましょう。
↓
捺す
印泥をつける前に、印面についた切りくずを除去します。
これをしないと印面に余計な跡がつくということもありますが、印泥に切りくずが入るとその後にも悪影響を及ぼすので印面清掃はクセづけましょう。
印泥に印面を押し付けず、『ポンポンピタピタ』を何回か繰り返してやさしくつけます。捺す前に印面を目視確認しましょう。
てん刻バレンの使い方は、まずその上に紙を乗せ、印泥を付けた印面を載せます。
そして紙と印を一緒に前後に動かします。
それを数回行ったら印を90度回転させ、同様に前後に動かします。
完成
印影を見て彫り残しがないか確認します。
ただ、ここで完全に彫り残しをきれいに除去するのはちょっと待ってください。
多少の彫り残りが「味」となり、作品に雰囲気をもたらしてくれます。仕上げはほどほどに。
まとめた動画はこちら
マイてん刻は書道の作品だけでなく、絵手紙や年賀状の角に捺すと作品がぐっと引き立ちます。
いろいろな文字でたくさん作りましょう!
作り方をまとめた資料はこちらです。
てん刻用品はこちら→ てん刻コーナー