石を彫って人型を作ってみよう
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キカイさん
石のはんこ【てん刻】で使われる印材ですが、何も印面だけしか使っていけないというわけではありません。持つところ(鈕・ちゅう)を彫って立体作品に挑戦!
この作品を制作するにあたって
こんにちは、道刃物工業のキカイです。
弊社は彫刻刀メーカーですが、木彫用の彫刻刀だけでなく「てん刻(篆刻)」と呼ばれる石を彫って作るはんこの関連商品も取り扱っております。
てん刻は印面(石の正方形の部分)をてん刻刀で削ってはんこを作るのですが、今回は印面ではなく『鈕(ちゅう)』という、いわゆる「持つとこ」を彫って立体作品を作ってみましょう。
前準備として、石をやすりなどで彫っていくためたくさんの粉が出ます。作業台の上に濡れタオルまたは濡れ新聞などを敷き、粉が舞うのを防ぎましょう。マスクや防塵メガネを装着すれば完璧です。
図面と下描き
まずはイメージを保つために図面を作成します。自分が何を作りたいのか見失わないためのメモ書きみたいなものなので、大体でオッケーです。
図面が描けたら石に下書きを入れましょう。ただこれも削るとすぐなくなってしまうので、ザザッとで構いません。
彫ってなくなるところに色を入れておくと、間違いが少ないです。
鬼目やすりで粗削り
てん刻プラバイスの上部に石を挟みます。てん刻プラバイスは印面を彫る時用に挟める溝が付いておりますが、立体彫りも考慮し上部に2本のレーンがついているので、直方体も挟むことが出来る優れモノ。
プラバイスに挟むと手でつかむところが増えるので、彫りやすくなり、且つ安全です。
鬼目やすりを鋸のようにして溝を彫りましょう。石は意外と柔らかく、ゾリゾリと削れて行きます。
溝が彫れたら鬼目やすり半丸に持ち替え、平たい部分を使って溝と溝の部分を削ります。
削れた部分が増えてくるとバイスに掴みづらくなってきますが可能な限り頑張ります。
側面と同様丸やすりで溝を削って…
わけがわからなくならないように、不要となる部分に緑色を付けます。
中彫り
今度はてん刻刀を使って中彫りを行います。
粗削りの状態ではカクカクしているので、四角い断面を丸い断面にしていくような感じで彫るといいでしょう。
仕上げ
てん刻刀で形が出来たら、耐水ペーパーにて表面を滑らかにしていきます。
#240→#400→#800→#1500の順番で丹念に。
力を入れすぎると、彫刻して浮いた部分がポッキリ折れることもあるので、力を入れ過ぎないよう注意します。
耐水ペーパーの艶では物足りない!という方は艶出しニスを塗布しましょう。表面に幕が張るので保護にもなります。
完成
思いがけずお尻がプリっとしちゃいましたが、これもまた創作の楽しいところ。
自分が意図していなかった意匠が出来ると思わずニヤけてしまいます。
元々石はんこの素材なので底部分にはんこを彫ってもいいのですが、なにせ彫刻部分が繊細なため壊れやすくなっています。
印として使用されたい場合はあらかじめはんこにしておいてから、鈕部分を彫りましょう。