彫刻刀を使った作品レシピMICHIHAMONO

木版画で年賀状を作る

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  • カテゴリタグ: 木版画

キカイさん

日本の伝統的な表現方法である木版画。最近では国内はもとより海外でも人気があります。 メールやSNSで済ましてしまいがちな新年のあいさつを、敢えて手作り木版画で表現してみましょう!

主に使用した道具:

この作品を制作するにあたって

こんにちは、道刃物スタッフのキカイです。
木版画の技法は様々ありますが、これは私がいろいろな方から聞いた方法を集約したものです。
今回は主に、湯島にある創作木版画『工房ゆう』山口先生にご教示頂きました内容をご紹介いたします。

下描き~貼り付け

まずは下書きを描きます。
あとで版の色分けをしなければならないのですが、最初からそれを意識すると伸び伸び描けないのであまり考え込まず好きなように描きましょう。
大きさははがき大100×150mmに収まる大きさです。

下絵が描けたら見当も忘れずに書き込み、コピーを取ります。
版木の大きさが110×160mmなので、10mmずつ見当を書き込む余裕があります。
今回は頑張って2版で摺りますので、2枚用意しておきます。

版木にコピーした下絵をやまと糊を薄くしたもので貼り付けます。
スミ版がベタ版かわかるように赤ペンで書いておきましょう。
糊が乾いたら椿油を吹きかけ、下絵を透かします。

見当を付ける

まずは「見当」を入れていきましょう。
重要な部分なので慎重に行う必要があります。
まずは『カギ見当』から。見当の内側の線に沿って、印刀を使って垂直に切り込みを入れます。

L字に切込みを入れたら、見当のみを使って彫ります。
深さは紙の幅よりも少し深い程度で十分。あまり深くしすぎるとズレの原因になります。
刃物というのは刃裏を工作物に向けると食い込む方向に力が働くため、刃が深く入りがちです。刃裏を上に向けて掬うように彫ると薄く彫れます。


取り残しがあると紙を置いた時に邪魔になってこれまたズレの原因になるので、キレイに取っておきましょう。


カギ見当が出来たら、セットである『あて見当』を彫ります。
あて見当は台形のような形をしております。実際紙が当たる台形の上底部分に印刀で垂直に切込みを入れておいてから、斜辺に深めの丸刀(6mmくらい)で溝を入れ、そのあと上底に向かって見当のみを入れるときれいに出来ます。

見当は忘れちゃうと後々面倒なので版木分全数、先に彫って置いた方がいいです。

スミ版を彫る

見当が彫れたら版を彫っていきましょう。まずはスミ版から。
残したい絵の周りに赤ペンで線を入れ、そこから指1~2本分離れたところにも赤線を入れます。

赤線部分に丸刀6mmで溝を入れていきます。


残したい絵から放射線状に外側に向かって、溝々を入れていきます。
外側から内側に向けると絵を損傷してしまう恐れがあるのでやめましょう。
結構力がいるので、版木は作業台のストッパーに噛ませるか、下に滑り止めマットを敷きましょう。


周りが剥けました。
荒彫りなので丁寧にする必要はありませんが、勢い余ってケガしちゃった、なんていうことのないように注意しながら。


余白部分をこのままにしておくと色がついたり、ガタガタの彫り跡のせいで刷毛がボロボロになるので、出来るだけ滑らかにしておきます。
平丸大サイズやサラエのみ浅丸スクイなどがおすすめです。※画像は柄が旧タイプのものです。

ここでひと手間。
残したい部分とは対岸のヘリ部分を、平丸もしくは見当のみで面取りします。
ここを面取りしておかないと摺った時にこのヘリの跡がついてしまい、作品に余計な線が残り違和感が出来てしまいます。
細かい気配りが、作品にも影響します。


残したい部分の周りに三角刀を入れ、線を凸版を出していきます。
この絵の場合はヒツジのもこもこの線を残し、迎春の文字は別版になるので取り除きます。


下のモフモフした陰の部分は三角刀のVの字を生かして作ります。
線が密集しているのでほぼ三角刀で彫り、少し広い部分は丸刀で取りましょう。
彫り損じがないかどうかを確認したら、糊で貼っていた下絵を洗い落とします。
これで、スミ版の方は出来ました。

ベタ版を彫る

スミ版からベタ版に切り替わる時は彫る部分と残す部分がほぼ逆転するので、ややこしくならないよう彫る前に残したいところを色ペンなどでマーキングしておくといいです。
このベタ版では『迎春』という文字を残すので文字に赤ペンで色を塗りました。
この絵の場合ベタ版は文字が多いので、残したい線の周りは三角刀ではなく印刀を使います。
印刀は入り組んだ部分を的確に彫り出すのに有効です。三角刀や丸刀では届かない入り組んだ部分に使います。
印刀はグーで握って奥から手前に引いて彫るのが江戸木版画的ですが、刃を向こうに向けて刃を持った反対の手を添えて彫る方が安全かもしれません。

印刀で字の周りに切込みを入れたら、切込みの1mmくらい外側を丸刀3mmで彫ります。
残った部分は平丸で取り除きます。
彫る部分に余裕がないところは、印刀をV字に入れて取り除きます。
または0.5mmの極細丸なども有効です。


彫り終わったら、見当もちゃんと彫ってあるか確認し、よければ下絵の紙を洗い流します。

摺る

いよいよ摺りです。
まずは絵具皿に絵具を用意します。
摺り方には「ゴマ摺り」というまだらな摺り方と「ベタ摺り」という均一な摺り方があり、糊を入れるとベタ摺りになります。
今回は基本的にベタ摺りなので、絵具に糊を混ぜてしまいます。
割合は【絵具1:糊:水2】、という感じです。正直、量も割合もテキトーです。まずこれでやってみて、いろいろ微調整して体で覚えましょう。
版木は、洗った直後は湿っていますが乾いた状態だと絵具がすぐ乾き、板面が安定しません。
私が習った方法ですと、運び筆でまず一度板面にこれでもかと絵具を置き、そこからハケで引き算していくと結構安定します。
ビチャビチャでもなく、カラカラでもないちょうどいい板面であることを目視で確認したら、木の目の方向に軽く刷毛でまんべんなく撫でます(これもひと手間ですが、大事)。


板面を確認したら、間を置かず摺り紙を置きます。
置く時はもちろん先に彫った見当を使用します。カギ見当に紙の角を乗せ、そこを抑えながらあて見当に紙のヘリを当てます。
板面に紙を置いたらバレンで摺るのですが、摺り紙の上にトレーシングペーパーのような薄い紙を一枚乗せるのがポイント。
トレーシングペーパーを乗せると、摺っている時にはみ出した絵具でバレンが汚れる→それに伴い摺り紙の裏(年賀はがきの場合宛名を書く面)が汚れる、というのを防ぎます。
また、摺り紙が反る→バレンに引っかかる、というトラブルも軽減されます。
バレンには軽く油を塗布すると、滑りがよくなります。手元に油がない場合は、顔面から出る皮脂でも効果十分。私はよくバレンにほっぺたを擦り付けてから摺ります。頭皮を擦り付けるという人もいます。
摺る時はバカヂカラで摺らないこと。疲れるだけです。また、バレンを斜めに立てないこと。程よい圧力で、バレンの表面(竹皮の内側)の粒々で出来た面で絵具を紙に摺り取るようなイメージで。


全体まんべんなく摺り終わったら紙を外し、摺り具合をチェックします。
薄いところがあればそこに絵具を足し、板面調整して摺り足します。
大量の摺りを必要とする場合、プラバレンよりも創作ばれんの方がやはり安定します。
ワンランク上を目指す方は是非そちらをお選びください。


ベタ版が摺れたら乾かしておき、次にスミ版を合わせます。
重なっている部分があれば彫って板面を整えます。

完成

今回は上部と下部の色を、同じ版上で変えました。
ぼかしというほどではないですが一色よりもいい感じになりましたね。

今回は年賀状の作成の紹介でしたが、木版画自体は何も季節限定のものではありません。

四季に合わせ、いや、別に四季に合わせずとも自分の表現したい物事を、

木版画を通して作っていくというのも大変素晴らしい趣味かと思います。

ご興味のある方は試してみてください。
バラで用意するのが面倒!という方は是非彦坂木版工房さんと共同で作った「木版道具箱」をお選び頂くと、

大体全部揃っているのですぐに木版画をお楽しみ頂けます。

彦坂木版工房さんオリジナルテキストもこのセットでしかゲット出来ませんので、是非!

そのほか、木版画用品はこちらのページです。

木版画用品の商品ページ

 

 

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