木のカトラリー制作に挑戦!

2019-2-25

木彫の入り口としてオススメなのが、木のカトラリー制作です。
カトラリーとは食卓用のスプーン、ナイフ、フォークなどのことで
実用性が高く、また形状的にも曲線が多いため彫刻の基礎を学ぶのに最適です。

今回は弊社刃物をいろいろ使ってカトラリーの中でも一番よく使われる
スプーン制作手順をご紹介したいと思います!

【木彫の基本 木の目って何?】
まず始める前に、木彫の基本である「木の目の方向」の話を少し。
木の目には方向があり、クルクルと心地よく彫れる方向が順目(ならいめ)、
食い込んでしまってバサバサになってしまう方向が逆目(さかめ)といいます。

ナイフを使って行う鉛筆削り、みなさん自然と鉛筆の中心に向かって
刃を入れると思いますが、あれが順目で木を削っていることになります。


みなさんがいつもやっている鉛筆削り。
くるくると気持ちよく切りくずが出ます。

逆に、鉛筆の中心近くに刃を入れてから引くように鉛筆を削ったら、
刃が木部に食い込んで割れちゃいますよね。これが逆目です。


誰もやらない削り方。
このままいくと、割れますね。。。危ないのでマネしないでください。

図で表すとこんな感じ。

以上のように、鉛筆削りは木彫の基本。
大変理にかなった彫り方なのです!

木の目の方向は、鉛筆のような形状だと単純(中心に向かって彫る方向)ですが
形状によってコロコロと変わるので、削りくずがクルクルと心地よく彫れるか
常に木のご機嫌を伺いながら彫るのが、木彫の醍醐味です。

【材料】
今回はヒノキを使って作っていきます。
彫りやすい固さで匂いもよく、彫ってるだけで癒されます。

材料はこのようにあらかじめ木取り(不要なところを排除すること)された
加工材を使用していきます。


板厚1㎝ほどの角材から上のように鋸で切り出しました。


お好きな形に下書きを入れておきましょう。

【彫刻1 頭を丸める】
まずは頭の形を整えます。
木端(こば)から刃を入れた方が、木目に対して刃が平行に入るので彫りやすいです。
逆に木口(こぐち)だと木目に対して垂直に刃が入るので硬くて彫りづらいです。
木端からの彫りを増やし、木口の彫る部分はなるべく少なくするのが
効率の良い彫刻のポイントです。


順目だと割れづらく、逆だと割れやすくなります。


(拡大してご覧ください)

平刀をグーで握って使うと力が逃げないので効率がいいです。
作業台の上にコルク板などを敷くと、刃を傷めにくくなります。

輪郭が彫れたらカービングナイフ(もしくは印刀)で
さじ部分の外側の丸みを彫っていきます。
初めはサイドから彫り、かまぼこ型にしてから
全体を丸くするといいです。


木の目によっては手前に彫ることも。
ケガ防止のためにケブラー手袋をはめています。

かまぼこ型になったら全体を丸めていきます。

平刀も駆使すると効率が良くなります。

【彫刻2 柄を削る】
柄を削って好きな形に整えていきます。
持ち手部分はまっすぐなので、逆目にならないように気を付けながら
四角いところを丸くしていきます。


まず下書きを入れます。


割れないように初めにを入れます。


木の目に逆らわないように平刀を入れていきます。


反対側も平刀で。


首部分まで彫れたらカービングナイフに持ち替えます。


右利きの人はここで印刀左を使うとくびれ部分に食い込まないので便利!


カービングナイフで流れるように柄を整えます。
持ち手部分の形が整ったら、全体の形も整えます。

【彫刻3 匙の内側を彫る】
匙の内側は丸スクイがあると便利です。
荒彫りは木の目に対して横方向に。
仕上げは縦方向に刃を入れるとスムーズです。


内ぐり範囲を下書きします。


カトラリー細工のみ・丸スクイは内ぐり部分にぴったりフィット。
凹みのRに合わせて彫刻刀の丸スクイなどを使い分けましょう。


荒彫りは横方向に、仕上げは縦方向に薄く彫るときれいに出来ます。
底の部分が木の目の方向の境目なのでガサガサになりやすいです。
薄く薄く削って、きれいに仕上げましょう!

【仕上げ 紙やすりがけor彫刻刀で仕上げ】
紙やすりをかけて仕上げます。
粗目からかけていくと滑らかに仕上がります。
#80→#150→#400の粗さでかけました。


やすりをかけたら木の粉をふき取っておきましょう。


「自分は彫り跡が好きだ!」という方はやすりを使わず
彫刻刀でコツコツ仕上げましょう。

 

【ニス塗り】
塗装仕上げは様々な方法がありますがそれぞれに一長一短があります。
よく蜜蝋を塗るというのを聞きますが、熱で溶けるので
繰り返しの使用で剥がれてしまうため塗りなおしが必要です。
今回は人体への影響も少なく、耐久性もまあまあのセラックニスで仕上げます。
セラックは乾燥が遅いので、気長に何度も塗っていい味にします。

【完成】

ということで。。。

完成ました!

1本出来たら今度は頭の大きさや柄の長さを変えて
さまざまなスプーンづくりをしてみましょう。
スプーンになれたらちょっと難しいフォークにも挑戦してみましょう。

ご自分で作った食器で、ご自宅の食卓に彩を!
是非カトラリー制作を楽しんでみてください。

この記事で使用した彫刻刀・道具のまとめ
カービングナイフ
カトラリー細工のみ丸スクイ12mm
平刀(ハイス)
印刀(ハイス)
丸スクイ(ハイス)
カービー彫刻刀
細工鋸
ケブラー彫刻手袋
作業台

カトラリー制作用道具のページはこちらです→ 


刃表の境界線のお話

2017-11-10

こんにちは、道刃物工業の営業・キカイです。

研ぎ実演会を行っているよく聞くのが
刃表に見られる境界線のお話です。
刃表を見ると、刃先の方に境界線があり
そこからもう一段研いである、
かのように見える方がどうも多いようですが

違います。

下図をご覧ください。
これは刃を横から見た図ですが
×の方で認識されている方が結構いらっしゃいます。

そのため、刃研ぎの際に砥石や研ぎ機に対して刃を立ててしまい
研ぎ角を鈍角にしてしまっているパターンが多いようです。

この線は鋼と地金の境界なだけで、素材の色の違いで出る線です。
つまり、あくまでも刃表は「一面」で研いであります。
丸刀は曲面ではありますが、断面で見れば上図のようにまっすぐです。

ミニハイスケアーでも上手く研げない、という方は上記を意識して
またトライしてみてください。

以上です!

 


木版画年賀状を作りました

2015-12-9
こんにちは、道刃物工業の営業・キカイです。
めっきり寒くなりましたね!
みなさまお元気にお過ごしでしょうか。
12月毎年恒例行事となっている
道刃物手作り年賀状制作。
会長からその担当を引き継ぎ
私キカイが作るのが、もう早いもので6回目となります。
来年は申年。そして私も申年。
そうです年男です。
そんなこともあり、これまで以上に思いを込めて
年賀状制作に取り掛かりました。
完成品はまだお見せできないので
過程だけお伝えいたします。
これまでの木版画年賀状はかわいい感じになっていたので
今回はちょっとリアル路線でいってみました。

猿版画1 
画像で印刀使ってますが、毛並が多かったので
ほとんど三角刀で彫りました。
印刀でやるより勢いが出ます。

猿版画2
2版彫り終わったところ。
しかし顔の線と毛の骨版と、顔面の色版に2版で行くつもりが
途中で毛を2色でやりたいなーと思い出してしまい
結局この後もう1版増え3版に。
摺る回数は増えますが、同じ版で色が重なっちゃうと
摺る時大変なので、版増やした方が賢明ですね。
なんせ摺る枚数が枚数なので。。。
猿版画3
奥にあるのが2版摺ったところです。
弱い色から摺っていき、最後に手前にある
黒に近い茶色を重ねます。
絵具に対して同じ体積くらいの糊をまぜ
水は絵の具と糊の合計と同じくらいの量かな。。。
いつも目分量なので大体ですが。
摺ってみてカサカサになるのは水が少ないので水を足します。
ビチャビチャになるのは版に水分が多すぎるからなので
若干湿ったハケで、それをうまいこと調整します。
まー、枚数摺っていくとなんとなくわかってきます!(笑)
猿版画4
摺った枚数100枚!
摺りだけでトータル4時間ほどかかりました。
版数×枚数で摺り回数300回。
軽い修行ですね(笑)
今年は各イベントで木版画実演をよくやったためか
版面調整も慣れたもので、大失敗というのは出ませんでした。
慣れれば慣れるほど楽しくなる木版画。
みなさんも是非木版画年賀状にチャレンジしてみて下さい!

ダイヤ円盤動画 アップしました

2015-3-12
こんにちは、道刃物工業のキカイです。
彫刻刀研ぎ機ミニハイスケアーでの
荒研ぎに便利な『ダイヤ円盤』。
これまで、バフの側面にかぶせる形での
取付けの仕方をご紹介しておりましたが
2サイズのスペーサーを用意することで
常時両面を使用する取付け方を発見しました。
そちらの模様を動画にいたしましたのでご覧ください。


この取付け方でさらに使用の幅が広がりますね。
是非一度お試しください!
* * *
取付けには5mmと9mmのスペーサーが必要となります。
ダイヤ円盤ご購入履歴がありスペーサーをお持ちでない方には
補填させて頂きますのでご一報ください
今度ダイヤ円盤をご購入の場合は初めからスぺーサーが付属します。

【速報】てん刻図案転写の新技法

2014-1-22
 こんにちは、道刃物の営業・キカイです。
今日はてん刻についてのお話。
てん刻というと、まず印面に図案を転写する方法で
頭を悩ませてらっしゃる方が多くいらっしゃいます。
今回は図案転写の歴史に触れつつ
最近新たに生み出された新しい図案転写法をご紹介します。
墨を使った図案書入れ
古くは、描いた図案を鏡に映し、朱墨と黒墨を用い
印面にダイレクトに描いていくという方法があります。
これですと、元の絵を再現するのがなかなか難しく
かなりの技術が必要となります。
転写 朱墨 黒墨  
朱墨・黒墨による図案書入れ

マジックインキによるトナー転写法
その後、「トナー転写法」というものが生まれます。
描いた図案を一度レーザープリンターでコピーし
それをひっくり返して印面にのせ
マジックインキで表面を塗りコピーのトナーインクを転写。
(マジックの溶剤でトナーを溶かす)
描いた図案をそのまま転写出来るなかなか画期的な方法ですが
プリンターが必要なこととにじみなどムラが出来やすいのが難点です。
転写 マジック 
マジックインキ×トナー転写法

印泥・鉛筆による転写法
そして近年では、印を捺す時に用いる
印泥を使った転写方法が編み出され
描いた図案をそのまま転写出来るということで
長年ワークショップなどでご紹介してまいりました。
ただこちらは赤い印泥と鉛筆で行うので
黒い石でやると見えにくいという問題がありました。
転写 印泥 
印泥×鉛筆転写法 
 
  
新技法・POSCA転写法 
 
そして今回新たにご紹介するのが
水性マーカーPOSCAを使った転写法です!
てん刻家・イラストレーターのしろたえさんが
研究に研究を重ね編み出された画期的な方法。
動画にまとめましたのでご覧下さい。

 
どこにでも売っている水性マーカー・POSCA。
それを印面に塗って乾かし、消しゴムはんこと同じ要領で転写します。
しろたえさんによれば、POSCA以外のペンで試した結果
これ以外ではうまくいかなかったとのこと。
これですと黒い石でも見やすく写り、
また鉛筆でダイレクトに修正出来るので
転写だけでも大変楽しい作業になりそうです!
しろたえさん、大変貴重な情報をありがとうございました。
てん刻家・イラストレーターしろたえさんのHPはこちら→
イベント出展や教室も開かれるしろたえさんの
今後のご活躍をお祈りいたします。
転写方法はそれぞれに特徴がございます。
ご自分にあった転写法を見つけましょう。
それでは、皆さんも是非この方法をご参考に
てん刻の制作にチャレンジしてみて下さい!